NGO SESCO 論考 NO.28号 私の日本アフリカ学術会議

 ― 日本アフリカ学会とのかかわり ―

 2020年から新型コロナウイルス禍のため日本アフリカ学術会議はオン・ラインになっているが1999年第36回京都大学へ初めて出掛けた経験は記憶に鮮明である。
 1999年5月28日(金)虎ノ門の事務所「アフリカ協会」を訪ねた。対応して頂いた赤塚さんから明日京都大学で「アフリカ学会」があると聞き、その晩帰宅後、当時NGOセスコのメンバーでもあった森淳大阪芸術大学教授(ウガンダ、マリの研究)に電話した。先生は29日(土)30日(日)参加するので良ければ紹介(入会)の労をとりますとのお誘いを頂き日本アフリカ学会との糸口になった。ABC3会場に分かれて朝から晩まで15分刻の研究発表が続く。政治、経済、社会、歴史、教育、言語、農業、地質学、人類学などテーマの広さと深さに開眼した。夜の懇親会では今迄新聞、雑誌、書物などから存じあげていた錚々たるアフリカ研究者、学者、行政官、ジャーナリストがおられ圧倒された。ナイジェリア元大使黒河内康さんと出会い、今日に至るも毎年学会で親しくして頂いている。他に米山正夫先生、川田順造先生、アジア経済研究所の平野克己氏などとも名刺交換をした。


 2009年5月東京農業大学で開催された第46回日本アフリカ学術会議では、修士論文時の現地調査を骨子に徳島大学大学院 カルビ・ブカサ医学博士との共同「キンシャサにおけるストリートチルドレンの現状と課題」と題したポスター発表を行った。少し内容に触れるとキンシャサのストリートチルドレンは紛争と経済悪化により2万人居ると言われ、中でも’Witchcraft’‘悪魔つき’と親に捨てられる子どもが多い。子どもをめぐる諸問題は「ストリートチルドレン」「エイズ孤児」「子ども労働」「少年兵」等ある。キンシャサにある5つのNGOと9ヶ所のストリートチルドレンセンターを訪問しインタビューした。子どもの実態調査では、男子31人、女子24人で年齢は8歳から17歳まで。家を離れた・捨てられた要因は‘悪魔つき’(27.3%) 両親または一方の死亡 (27.2%) である。NGOの運営と課題では、国際機関UNICEFを筆頭に国際NGO CIMOS (赤十字、オックスファム、セイブザチルドレンなど)がある。ローカル最大のプラットフォームREEJERは傘下のNGO 180と連携をとりストリートチルドレン問題のコーディネイトをしている。対象事業は、保護と観察、宿泊の提供、健康と医療ケアー、職業訓練、レクリエーション、家族捜しにある。最大の課題は資金不足で12中9団体が不足。人材確保と育成が難しい。国際機関、各国のNGO等が政府と協働して孤児を保護し、教育や職業訓練によって子どもたちに対する社会参加の道を付けることが喫緊の課題であろう。


 多くの学会参加者から質問や感想を受け、一定の成果を得たと実感した。
2013年5月25 ~ 26日(日)第50回 学術大会に参加 東京大学大学院総合文化研究科 駒場の様子を報告する。口頭発表 1 農業・環境 2 人類学・医療・教育 3 文化・芸術・狩猟 4 政治・経済・社会・国際機関、そして学会創立50周年記念公開講演会は、浦野起央 日本大学名誉教授「アフリカ研究会から日本アフリカ学会へ」他。特別フォーラムは、「アフリカ研究の手法」であった。開催された日本アフリカ学会は50周年記念と言うこともあり盛会。2日間対象国54ヵ国、上記分野に関して100人の研究者の発表があった。学者、研究者、大学院生、実務家が研鑽した多岐にわたる内容の発表と討議が続いた。参加者(深尾)の主な関心は、「アフリカ子ども学・教育」「激動のアフリカ国境地帯―政治・経済・文化―」のフォーラムとルワンダ、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、セネガルの政治・民族・宗教・教育などである。「50周年記念講演会の浦野、諏訪、端、奥野各氏の回顧から実践・研究の歴史の重要性を痛感した。何時もながら学会参加は刺激を受け、学問の広さと奥深さが尽きる事がない。」と当日のメモが残っている。


 日本アフリカ学会の会員数は820人(2021年)、1964年の設立以来参加されている会員もおられると思うが、森先生とのご縁で始まったこの大会に23回を越えて参加出来たのは良き経験になった。記録しておきたい。
第36回 1999年 京都大学 37/ 2000 広島市立大学 38/ 2001 名古屋大学 39/ 2002 東北大学 40/ 2003 島根大学 41/ 2004 中部大学42/ 2005 東京外語大 43/ 2006 大阪大学 44/ 2007 長崎大学 45/ 2008 龍谷大学 46/ 2009 東京農業大学 47/ 2010 奈良大学 48/ 2011 弘前大学 49/ 2012 民族学博物館(阪大) 50/ 2013 東京大学 51/ 2014 京都大学 52/ 2015 犬山国際観光センター(京大) 53/ 2016 日本大学藤沢 54/ 2017 信州大学 55/ 2018 北海道大学 56/ 2019 京都精華大学 57/ 2020 東京外語大 58/ 2021 広島市立大学 59/ 2022 長崎大学 60/2023 ・・・

 2015年の大会で会話を交わした、大林 島田 望月 竹村 勝俣 北川 原口 吉田 澤田 清水 米川 落合 岩田 澤村 大場 高倍 黒河内 ウスビサコの諸氏が居る。もう何年継続出来るか判らないがアフリカ・アジアには深い興味・関心を持ち続けたい。

日本アフリカ学会 研究発表要旨 1999.5
日本アフリカ学会 ポスター発表 2009.5
ケニヤ ナイロビ郊外 スラム街 キベラ 1915年9月
エチオピア ナザレット郊外 2016年9月

 2022.9.10
SESCO 副理事長 深尾幸市

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