NGO SESCO 論考 NO.46号 産経新聞「正論」から

 毎日新聞元編集局長の歌川令二著『新聞がなくなる日』が出版されたのはもう20年も前2005年9月である。「紙の新聞、宅配の大新聞が消えるのは、もはや時間の問題だ!」。

「一対多:一方通行型ジャーナリズムと一対一:双方向方型ブログ・ジャーナリズムの異なるメデイアの相克時代に入っている。」「20代、30代の若者が「紙」の新聞を読まなくなった。テレビ、インターネットで十分、新聞はなくても困らない新人類の出現だ。」「昔から日本の新聞を支えてきた戸別配達制度に陰りが出だしデジタル情報化時代の到来に日本の対応は、米国よりも7~8年、韓国よりも3年遅れている。」24年現在「紙」の新聞は無くなっていないが大幅に減少しているのは事実だ。私は学生時代から60年余「日本経済新聞」を継続している。また中学時代から家で取っていた「朝日新聞」を読みその後も継続していたが1990年代「慰安婦問」をきっかけに「毎日新聞」へ切り替えた。が、丸谷才一が中心になった「今週の読書」以外特記すべきこともなく3年程で「産経新聞」へ代わった。従って今の処、産経新聞の「正論」は読み応えがあり今回取り上げることにした。<「産経新聞」を購読していなかった当時も雑誌『正論』は結構読んでいた。>


「正論」執筆陣は充実しており「正論大賞」歴代受賞者は第1回1985年 渡部昇一を皮切りに、加藤寛 唐津一 曽野綾子 竹村健一 猪木正道 堺屋太一 西部邁 上坂冬子 西尾幹二 岡崎久彦 田久保忠衞 江藤淳 三浦朱門 石原慎太郎 勝田吉太郎 桑原寿二 佐伯彰一 関義彦 小堀桂一朗 屋山太郎 亀井正夫 中西輝政 中嶋峰雄 森本敏 藤岡信勝 佐々淳行 佐伯啓思 阿久悠 加地伸行 佐瀬昌盛 櫻井よしこ 渡辺利夫 西原正 中曾根康弘 葛西敬之 西修 秦郁彦 西岡力 ジェームズ・アワー 木村汎 新保裕司 百地章 笹川陽平 李登輝 古川勝久 平川祐弘 横田滋 横田早紀江 織田邦男 安倍晋三 2023年第39回の江崎道朗へと続く。他に印象に残る執筆者として、竹内洋 阿川尚之 桜田淳 八木秀次 藤原正彦 楊海英 小川栄太郎 井上和彦 吉崎達彦 三木光範 村田晃司 阿古智子 等がいる。
新たに2024年から11人が加わった。荒木信子 岩田規久男 岩田清文 小泉悠 高井康行 早坂隆等に期待したい。

少し古い切り抜きから印象に残っている記事を挙げてみよう。

阿川尚之「真の危機に対応する政府の役割」2020.2.26
コロナウイルスを考える中で「人間が季節や気温、天候をコントロールできるなどという夢を、もはや誰も見ない。」「その責任と解決を政府にばかり押しつけるべきでない。人にうつさぬよう個人でできることもある。」「大規模な自然災害、安全保障上の脅威も増す。そのたびに人々は政府に完璧な対応を期待する。政府も多くを約束する。しかし老齢化、少子化、人口減少が続く我が国で、国は人的財政的に全て対応できるだろうか。(中略)国がやらねばならないこととそうでないことを分け、資源を再配分し、本当の危機に対応できる体制を作らねばなるまい。」「何でも国に頼り政府がまた何でもやりたがるようでは、中国を笑えない。

平川祐弘「コロナ禍後に来る米中覇権争い」2020.4.3
コロナ禍のなか「私はマスクして拱手傍観しているが、疫病は個人の運命ばかりか国の運命をも左右する。今回の大災厄の後に、米中いずれが覇権国家として生き延びるか。米国側は中国ウイルスと発生源の中国の隠蔽体質を非難する。中国側は米軍人がウイルスを武漢に持ち込んだと噂を流す。」「武漢の骨壺に数は発表された死者の数より何倍も多い。コロナ禍との戦いは、民主的自由国家と強権的専制国家との戦いである。」世界の国々に後者の多いのが気にかかる。

松本佐保「宗教を通し世界の政治振り返る」2023.12.26
2023年の国際ニュースを政治と宗教の考察。ロシアのウクライナ侵略、ロシア正教とウクライナ正教、ユダヤ教とイスラム教。
①インド モデイ首相はヒンズー至上主義を掲げる。②プーチン大統領は、対ナチス・ドイツ戦勝利を祈念した博物館とロシア軍大聖堂をモスクワ郊外につくった。③トルコ エルドアン大統領は、建国の父ケマル・アタチュルクの政教分離の理念からイスラム色を持ち込む。④英・スナク首相はインド系のヒンズー教徒。⑤サデイク・カーン ロンドン市長はパキスタン系イスラム教徒。⑥バイデン政権の民主党は世俗的だがイスラエルを止めることが出来ない。世界まさに宗教的な多文化主義が進んでいる。
日本では自民党と連立を組む公明党池田大作の他界や旧統一教会問題から目を離せない。

早坂隆「机上の『戦後教育』と異なる現場」 2024.2.7
「元文学青年の祖父はリアリストでもあったが、その晩年は『最近は産経新聞くらいしか読むものがないね』と話していた。合縁奇縁、その新聞に不肖の孫が寄稿することになら、辛口だった祖父も少しは喜んでいると思う。」いい話だ。

2月私が参加した行事 
2月3日(土)第31回 ONE WORLD FESTIVAL 日本WHO協会「健康は平和の礎」セミナー 梅田スカイビル
2月10日(土)第25回 国際ボランティア学会「多文化共生をめぐる包摂と排除の理論」東京外国語大学/府中市
2月11日(日)第22回「 NAU 21世紀美術連立展」 桑山真弓展 国立新美術館
2月12日(月)塩川和子先生(学校法人大阪青山学園 理事長・元学長)「偲ぶ会」リーガーロイヤルホテル
2月17日(土)「 World OMOSHIROI Award 10th 」グランフロント大阪ナレッジ 及び SESCO理事会(2024年度 アフリカサロン企画)

阿川 平川 松本 早坂
歌川令三著 「新聞がなくなる日」
第25回国際ボランティア学会 東京外国語大学
桑山真弓 国立新美術館 2024.2.11

2024.3.10
NGO SESCO 副理事長 深尾幸市

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