NGO SESCO 論考 NO.43号 シンポジュウムと講演 3題 ― 大阪大学外国語学部・ 関西学院大学 / CLUB GEORDIE・大学問題研究所 ―
2023年10月21日 箕面市文化芸能劇場大ホール
第1回大阪大学外国語学部・外国学専攻シンポジュウム
「言葉を究めて世界へはばたく- 外国語を学ぶ者へのメッセージ、外国語を学ぶ者からのメッセージ – 」
基調講演1 山極壽一 総合地球環境学研究所長・京都府国際センター理事長『言葉を超える相互理解をするために』「人間は言葉だけで他の人間や動物たちと会話しているわけではありません。相手の気持ちを理解し、自分の気持ちを伝えるためには、時間をかけて身体と心を共鳴させる必要があります。長年ゴリラと付き合った経験から、人間が言葉を越えて信頼しあうための方策について考えてみたい。」(山極先生はやはりゴリラだ。)
基調講演2 ウスビ・サコ 京都精華大学全学研究機構長 全学研究機構アフリカ・アジア現代文化研究センター長 『多文化共生のために言葉が果たす役割』「文化の数だけ言葉がそれ以上あります。多様な人々が共生する社会の現実には、その複数の文化的伝統や言葉が受け入れられる環境づくりが必要です。お互いの言葉を理解することは、それぞれの文化を認識することでもあり、相手を受け入れる第一歩でもあります。」(サコ先生の生い立ちは何度聞いても面白い。)
パネルディスカッション「複言語・複文化共存社会研究センターの設立に寄せて―多様性を活かす社会創造のために私たちができること―」大阪大学大学院卒業生他関係者 矢元貴美 近藤美佳 天津貴志 松崎かおり 仁部屋みらい(同窓生の活躍ぶりに拍手。)
シンポジュウム終了後、オクトーバーフェストin阪大船場にてビール・ワインを始めタコス、そば、唐揚げ、焼き鳥などを食して楽しんだ。広場は少々寒かったけれど。
2023年10月25日 関西学院大学 三田キャンパス
関西学院大学CLUB GEORDIE 「アフリカと国際協力NGO活動」
CLUB GEORDIE(クラブジョーディー)は草の根レベルの国際交流・国際支援の推進を目的として1995年関西学院大学の登録団体として設立された。”The First Step to the World”を理念とし、一人ひとりの生活スタイルに合った国際社会への参加の形を提案することにより、市民全体が国際問題にたいして何らかのアクションを起こすことのできる社会の実現を目指す。「国際交流イベントの企画・実施」「開発教育の提供」「国際協力支援(ネパール支援プロジェクトにおける諸活動)」を行っている。
当日は「アフリカと国際協力NGO活動」と題して講演をした。内容は「NGOとは何か」で始め、事例「エチオピア・アジスアベバ NGO WISE」「ケニア・ナイロビ・スラム街のインフォーマル教育」 「コンゴ民主共和(旧ザイール)・キンシャサのストリートチルドレン」である。終了後の学生アンケートに対する筆者からのコメントの一部を掲載しよう。
21名のアンケートを読みました。アンケートはおおよそ5項目に分けられる。
1,初めて聞くこと、知らないこと(アフリカの現況、スラム、トイレ状況、少年兵など・・)が多かった。→ 学生時代知らないことが沢山あっても良い。将来好奇心を忘れず何事にも関心を向けて下さい。
2,ストリートチルドレン関連が強く印象に残った。→ 世界の国々には恵まれない子どもたちがいる。アジア、中南米、アフリカなど国情の違いと経済格差があり一様ではない。経済、社会、文化なども考慮して単に「かわいそう」と言うだけでなくミクロ、マクロ複眼思考の上課題に取り組む必要があるでしょう。
3,国際的な仕事を目指す、外国に行って活動し貢献をしたい。→ 語学の勉強と特技(教育、農業、技術、スポーツ、藝術など自分が興味関心のあるもの)を磨く事。例えば青年海外協力隊、JICA活動から各種国際機関へ広げてチャレンジする。
4,アフリカの教育状況・開発について、「教育は投資か消費か」、教育に関する関心が高い。→ 指導者・援助者になるにしても共に学ぶ姿勢は欠かせない。自らの教育観・スキルを高める。「投資か消費か」は様々な角度から考えて欲しい。
5,NGO国際協力の重要性の認識。→ 国際協力についても対象国の置かれた政治、経済、社会の状況を考慮して上から目線でなく共生の観点が重要と考える。前述の通り知識と経験が大切である。加えて実践するには緻密な思考と技術・実力を身に着けることを志向する事であろう。
2023年11月15日 キャンパスプラザ京都
大学改革推進フォーラム 第11回シンポジュウム「危機の時代の大学経営23」 『我が国の高等教育改革の現在と将来』
基調報告 我が国の高等教育政策の動向 文部科学省高等教育局長(池田貴城)→ 代理 文部科学戦略官・参事官 伊藤学司 (問題整理が出来て判りやすかった。)
事例紹介 日本女子大学の改組改革 日本女子大学学長 篠原聡子 (女子大の特色が表現されたが果たして汎用性があるかは判らない。)
国立大学改革の先進事例から―福島の創造的復興の中核拠点形成を目指して― 前金沢大学長・福島国際研究教育機構理事長 山崎光悦(金沢大学の斬新的な大学改革の経緯が興味深かった。)
問題提起 法改正を機に、私立大学のガバナンス改革とその課題 TMI総合法律事務所 弁護士 大河原遼平 (知的財産、危機管理、各種法律業務の解決助言の断面を知ることが出来た。)
大学運営を牽引きする米国大学基金の資金運用の基本的考え方 (株)IBJ代表 松田裕視 (大学基金構築の活用、米国の大学の資産運用事例が参考になった。)
パネルディスカッション 我が国の高等教育改革の現在と将来 モデレーター 元私学共済事業団理事長 河田悌一(私の質問「文部科学省が大学運営に対して年々助成金を減額しているが将来大丈夫か」)。
特別プレゼンテーション Z世代によるZ世代のための広報・広告戦略 Fiom合同会社CEO 竹下洋平 (18歳の高校生が取り組む企画、制作、運用はヴィジュアル中心でZ世代クリエーターの世界を知らしめた。)
終了後アパホテル京都駅堀川店 Garden annexにて懇親会、登壇者の方々を始め数名の方と名刺交換をしてネットワークを広げた。充実の交流会であった。
追記 : NPCコーポレーションでは2007年「大学問題研究所」を設置、国公私立大学の抱える諸問題を摘出、その解決策の検討を行い、課題レポートを各大学に提出してきた。また、2010年からは「危機の時代の大学経営」と称して多くの有識者を招いたシンポジュウムを開催した。筆者(深尾)は2012年のシンポジュウムに参加、主催者の西井幾雄社長の知遇を得て「大学問題研究所 客員研究員」の名称を頂き、以降継続参加をしている。
2023.12.10
NGO SESCO 副理事長 深尾幸市