NGO SESCO 論考 NO. 23 号 再び「ポストコロナの世界」

NGO SESCO 論考 NO. 23 号 再び「ポストコロナの世界」
再び「ポストコロナの世界」

 論考の初回2020年6月に新型コロナウイルス感染から「これからの世界・日本はどうなるのか」を予測した。コロナとの付き合いは2年を越え、新しい気づきや対策も出てきたが、ほぼ予想通りで、今一度ウイルスとの共生について再考してみたい。

 次々に襲う新型コロナウイルスの変異株、発病者、重傷者、死亡者をどのように捉えるか。現況は新型コロナウイルスの新規感染者のうちオミクロン型の派生型「BA. 2」の比率が高まったが、ワクチン接種が進み死亡率は抑えられている。各国は感染対策と経済活動の正常化の両立を模索している。

 世界の感染者(死亡者)は、4億8694(613.9)万人、日本で656.9(2.8)万人(2022年3月末現在)と発表されている。

 さて、ウイルスは本来、人間の都合とは関係がない。人間の尺度、目線では捉えられないのでは。それなのに人間中心主義的に考えて対処できると考えてしまうのも問題だ。日常的には発生率の速報だけでなくワクチン効果など科学的根拠に基づいた報道が望まれる。

 医学的見地だけでなく副次的な「鬱」などの問題も多い。有名無名地位が高いとか富豪だとかは関係なくパンデミックは、全ての人が息苦しさを強いられている。今まで人類が同じ生き方を強いられたことはなかったのではないか。様々な思想、信条、信仰を持ちながら皆マスクをしている。ひとつのウイルスにより、私たちは繋がっていたということを、徹底的に教えられた。即ちコロナは人間の無力さや社会の危弱さを浮き彫りにした。

 また、経済なくして生命は成り立たず、経済の土台に生命があることを忘れてはならないことも。人間は本来、何を望んでいるのか。何を求めているのか。資本主義を含め、既存の理論やシステムから離れて問い直すことが必要だ。生身の接触は人間関係に不可欠だが、危機の時代こそ新しい可能性にも目を向けるべきだろう。

 海外在住者、病人、死者・・・コロナ禍は遠隔でしか会えない存在も明らかにした。「空気や場所を物理的に共有せずとも、相手の存在に出会う」といった感性に敏感になることも大切なことに気づかされた。当初見通した、グローバル化の見直し、勤務形態や雇用形態の変化、労働者構成の変化、国際協調より自国優先という現象が生じる。

 日本の製造業の多くが生産拠点を中国に置いていたが、製品や部品が供給されなくなり、中国人観光客による『爆買い』も消えて中国依存の見直しは必至だ。新しい生活様式を求められるとテレワークやオンライン会議は普通になる。自宅で仕事をして必要な時だけ出社する。都市部のオフイス需要は激減する。産業構造は大きく変化する。自宅での仕事が当たり前になれば、都市部の盛り場も縮小する。演劇やコンサートの在り方も再考されカラオケやナイトクラブの存続も怪しい。

 一方で通信販売、運送業やIT企業は存在感を増すだろう。学校はオンライン教育を活用し、特に大学はオンライン授業と対面授業との組み合わせを有効にする。

 コロナ禍(下)で「ケア階級」と呼ばれるエッセンシャルワーカーの存在が際立った以外、推測は概ねその方向で動いている。現今の世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻による対露経済制裁や米中間の貿易、財政政策、戦況の様相が明らかになるにつれてエネルギー資源高騰、食料偏在・安全保障など問題課題が続出している。

 専制国家、例えば中国共産党のコロナウイルス対策ゼロコロナ・都市封鎖(成功していると思えない)の方が西側民主国家の時間のかかる対応より勝っているのか。途上国の中に専制国家の方が優れていると靡くきらいが見られるが自由の無い国家体制が望ましいとは決して思われない。自由と人権のある民主主義よ。 

 

追記 : 去る3月22日に全国18都道府県で実施されていた蔓延防止等重点措置が解除された。桜の開花と相まって経済活動も徐々に活発化されそうだ。

 松本尚日本医科大学特任教授が「日本人の心に蔓延した過剰にコロナ感染を恐れる“空気”を払拭できるか、コロナ意外の疾患で死亡することは容認できてもコロナで亡くなることは許容できないという考え方を破棄できるか、死期が近いと分かっていても徹底的に医療の提供を求め続けるのか、いま一度、一人一人が考えることも必要である。」「これまでの6回の波のそれぞれの特徴を受けて重点的な医療対応をしつつ、経済活動や教育を元の状態に復帰させる方針を国民全体が共有することが大切である。」と述べているが全く同感である。

 余談ながらコロナに関する興味深い新書2冊挙げておこう。


『コロナ後の世界』 大野和基 編 ジャレド・ダイアモンド ポール・クルーグマン リンダ・グラットン マックス・テグマーク スティーブン・ピンカー スコット・ギャロウエイ 著 <このパンデミックで人類の未来はどう変わるか?><新型コロナの感染拡大が収束しても核兵器、気候変動、資源枯渇、格差の拡大などこれまで世界が体験したことのない、史上初めての世界的規模の危機が始まる>など(文春新書 2020年7月)

『不安を煽りたい人たち』 上念司・篠田英朗 著 <「コロナの死者は42万人になる。PCR検査がコロナ拡大を止める」><「コロナ」騒動に踊る人たち>など(ワック 2020
年11月)

道頓堀 2020年4月3日
道頓堀 2022年4月6日 蔓延防止解除後

2022.4.10
SESCO 副理事長 深尾幸市

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