NGO SESCO 論考 NO.21号 『ストリートチルドレン』再読

― 都市化が生んだ小さな犠牲者たち ―

NGO SESCO 論考 NO.21号 『ストリートチルドレン』再読 ― 都市化が生んだ小さな犠牲者たち

2022年、年明けに偶々弊著『私のアフリカ、私の旅』の読者のご婦人から「タンザニアへの送金について」電話の問合わせがあった。主題はタンザニア・ザンジバルの知人への支援であったが、同時に話題が広がり私の調査したキンシャサのストリートチルドレンに及んだ。ので、標題を再読した。今回の論考はこれをテーマにしよう。国際人道問題独立委員会著 『ストリートチルドレン―都市化が生んだ小さな犠牲者たち』日本ユニセフ協会訳。 

目次に沿って紹介する。

最初の「都市化とストリートチルドレン」で緒方貞子が述べている。「世界で顕著なのがメキシコ、サンパウロ、リオデジャネイロ、ボゴタなど中米とマニラ、カルカッタなど、アジアの大都市に見られ、世界の大都市では、路傍で暮らすいわゆるストリートチルドレンが増え続けている。ユニセフの推定によれば3000万人以上の子どもが靴をみがき、小物を売り、残飯をあさり、あるいは物盗りをして暮らしている。ストリートチルドレンの増加は、基本的には開発途上国における急速な都市化現象を背景にしている。(中略)1950年には、開発途上国の都市人口は総人口のわずか17%程度であったが、1985年には33.7%を占め、2000年には、43.8%に増加することが予測されている。その結果、21世紀における世界の大都市は、東京、ニューヨーク、ロサンゼルス、モスクワ、パリを除いては、ほとんどすべてが途上国に存在するようになるといわれている。」


「プロローグ」 :・何百万のストリートチルドレンがひとりぼっちで生きている。生まれたときから栄養失調で、愛情とは無縁で、教育や援助も受けられず、愛してくれる人もなく、生きている ・今日を生き延びるために盗み、身をまもる ・だれからも微笑みかけられず、守ってくれる人も、安らぎを与えてくれる人もない子どもたち ・都市が巨大化するなかで、ストリートチルドレンの数もまた増えていく ・街頭は薬物や売春、犯罪に汚される前から、みんなの共通の遺産になってきた ・この報告はそれら、あすの市民についてまとめたもの。子どもたちの苦しみを、みんなに知らせよう。そして、みんなの良心をふるい立たせよう。


「街頭の小さな犠牲者たち」 :最初にゴミ箱をあさるマニラの少年の実態が報告される。「むずかしい『ストリートチルドレン』の定義。街頭にいる子どもや青少年のことで街頭を常駐のすみかにし、適切に保護されていないものと定義されることが多い。」「孤児や障害者の場合とは違って『ストリートチャイルド』を定義できるような厳密な学問的基準というものがない。(中略)街頭で一日のうちのかなりの時間をついやしている。『家族のない子ども』『危険なこども』『何にも属さない子ども』『世話や保護の必要な子ども』『遺棄された子ども』のすべてが、それに含まれる」「過去も未来もない世界」「生存を確保するためのおきて」


「ストリートチルドレンを生む要因」 :街頭に住みついた子どもたちは、大なり小なり家族から離別という心の傷を負っている。「産業革命当時のストリートチルドレン」「家庭を崩壊させる要因」「貧困のなかでの母親」「教育の不適切さと地域社会の崩壊」「環境の変化にもろい子どもたち」「都市への流入背景」


「問題の多い政府機関による取り組み」 :アフリカの例で施設に収容された子どもたちが家に戻っても、家は満足のいく状態にはなく、また街頭に飛び出して再収用される。官僚の多くがストリートチルドレンの問題に関心がない。「法執行機関による留置」「更生施設の実態と脱施設化の方向」「留置所と警察の問題」「関心の輪を社会にひろげる」


「効果的で人間的な取り組み」 :「現地で活動に従事する人々」「養護プロジェクト」「養護のさまざまな形態」「二つのプロジェクトの体験」(ブラジルの事例。若い商人の共和国。洗車少年やコーヒー売りの子ども、新聞少年、靴磨き少年、給仕をしている子どもたち。共和国構想の柱は街の子どもと社会との対話を確立する必要がある。もう一つは生涯のおもな目標としての人間の幸福をめざす。子どもたちが奪われている道徳的、知的、精神的次元のすべてを取り戻してそれらの価値が実現され、また演劇や音楽を通して大量の芸術的要素が織り込まれる必要がある。)「政府による最も期待できる兆しーブラジル」


「予防のためのさまざまな方策」 :「養子縁組み、里子制度、家族のきずなを強めること」「崩壊にさらされている家庭の支援」(家庭を訪問する社会福祉員は、危機にある家族の困難を知る。医師、看護師、保険員、栄養教育担当者、就学前教育や小学校の教師などの協力が必要になる。)「民間のイニシアチブへの支援」「施設を人間的なものにする」「子どもの新しいエネルギーを解放する」「ニーズに応える青少年のエネルギー」「学術機関の活用」


「関心から具体的行動へ」 :「人権を擁護する」「国連機関」「将来の道」(20の提言がなされているが、特に注視したいのが「大学の知的、物的資源をも活用し研究に当たってはストリートチルドレンの性質や発生率、街頭暮らしの長期的影響、地域的要因、問題がもたらす結果に焦点を当て問題を解決するために実施される努力について評価を行う」のである。
「日本の『隠れストリートチルドレン』」(省略)


なお、続いて「本書が社会に訴えたいこと」「国際人道問題独立委員会」「世界の25大都市の人口」( 紙幅の関係からベストテンを記録する。単位は万人。2000年の人口は メキシコシティ26.3(18.1 )サンパウロ24.0(15.9 ) 東京/横浜17.1(17.2 ) カルカッタ16.6(11.0 ) 大ボンベイ16.0(10.1 ) 大ニューヨーク15.5(15.3 ) ソウル13.5 (10.2 ) 上海13.5(11.8 ) リオデジャネイロ13.3(10.4 ) デリー13.3(7.4 )。(  )は1985年)「編集ノート」「あとがき」がある。

ユニセフ ストリートチルドレン
コンゴ民主共和国 キンシャサ Mama Africa 2003設立
キンシャサ ホープインターナショナル 施設 1996年設立
ケニア・キベラ スラム街 2015年9月


引用・参考文献 
『ストリートチルドレン―都市化が生んだ小さな犠牲者たち―』 
著者 国際人道問題独立委員会  監修者 緒方貞子  訳者 日本ユニセフ協会  発行所(株)草土文化 1988年12月

2022.2.10
SESCO 副理事長 深尾幸市

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