NGO SESCO 論考 NO.16 在日アフリカ人の現状
在日アフリカ人の現状とTICAD
我が国には在留外国人がどれくらい住んでいるのかご存じですか。「在留外国人統計 2020年版」(財団法人 入管協会)によると2,933,137人。在日外国人の統計を取り始めた1969年以降50年間に約70万人から293万人(総人口の約2.32%)へと約4倍に増加した。では、在日アフリカ人に限ればどうか。101人から17,923人へと170倍も増加している。実際には更に多くのアフリカ人が暮らしていると言われている。今や日本とアフリカが様々な分野で切り離して考えることが出来ないし、就労問題以外にも犯罪など課題も多い。
日本は1993年10月、アフリカから48ヶ国、13援助国・機関、8国際機関、5名の国家元首及び多くのオブザーバーの参加を得て東京国際アフリカ会議を開催した。TICAD ( Tokyo International conference on African Development )と称し日本が主導してアフリカ問題の重要性を国際社会に喚起し、国連、UNDP、世界銀行と共同で開催するアフリカ開発を課題とする国際会議の嚆矢である。以後の歩みは次の通り。
TICAD Ⅰ 1993年 東京 冷戦終結後、国際社会のアフリカに対する関心のきっかけ。
TICAD Ⅱ 1998年 東京 オーナーシップとパートナーシップの重要性を強調。
TIKAD Ⅲ 2003年 東京 アジア諸国を含むパートナーシップ拡大合意。人間の安全保障。
TICAD Ⅳ 2008年 横浜 フォローアップメカニズムを構築。
TICAD Ⅴ 2013年 横浜 「質の高い成長」と、官民連携による貿易・投資の促進を提唱。
TICAD Ⅵ 2016年 ナイロビ 初のアフリカ開催。質の高いインフラ投資と人材育成。
TICAD Ⅶ 2019年 横浜 「質の高いインフラ」「債務の持続可能性」を重視。
TICAD Ⅷ 2022年 チュニジア 8月予定
日本はアフリカの諸問題の解決のために、国際社会の責任ある一員として、また同時に日本の国益のためにも取り組まねばならない。一例として2013年に開催された第5回アフリカ開発会議で、職業教育や高等教育を通じて雇用に直結する人材を生み出す教育と、日本とアフリカ間の人的交流を促進するためABE ( African Business Education Initiative for Youth ) イニシアティブを発表。 2019年4月までにアフリカ54ヵ国すべての国から1,219人が来日、うち775人がすでにプログラムを終え帰国し、様々な分野で活躍している。
<参考>
各国によるアフリカ支援の枠組み
日本 : アフリカ開発会議(TICAD)
韓国 : 韓・アフリカフォーラム(KAF)
インド : インド・アフリカ・フォーラム・サミット(IAFS)
中国 : 中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)
2021.9.10
SESCO 副理事長 深尾幸市