NGO SESCO 論考 NO. 9  コロナ禍における大学の諸問題

NGO SESCO 論考 NO. 9
 コロナ禍における大学の諸問題

教育界に身を置く一人として大学問題に一度は触れておこう。新型コロナウイルス感染
症の流行で、大学の多くの授業がオンラインになり、キャンパスから学生が消えた。現在
は対面授業も復活しているものの、以前のようなキャンパスライフが戻るのはいつの日か

一方大学入試は21年度から「大学入試センター試験」の後継となる「大学入学共通テス
ト」が採用され本試験第1日程が1月16、17日に実施された。受験生約53.5万人。国公私立
大学の一般入試は2月から本格化し3月下旬まで続く。そもそもなぜ、共通テストに変更さ
れたのか。近年急速に進む情報化、国際化に対応できる人材を育成しなければならない社
会的要請に基づいている。従い ①知識・技術 ②思考力・判断力・表現力 ③主体性をもっ
て多様な人々と協働して学ぶという「学力の3 要素」が不可欠とされる。高校教育、大学
入試、大学教育を一体として改革する「高大接続改革」がうたわれた。
また、国立大学の第3期中期目標期間が最終年を迎え22年度から始まる第4期(6年間)
に向けて国立大学86校がそれぞれの将来ビジョンを策定する年になる。
日本に大学の数や学生がどの程度存在しているかご存じですか。


さて、「学び」の本当の課題は対面かオンラインかの二者択一ではない。「人が成長す
る上で他者と関わることがいかに大切か」。その機会を積極的につくり出すことが必要で
あり、課外活動も大学の重要な側面である。感染防止を徹底した上で大学祭を開催すると
か。オンライン・オンデマンドの定着により、リカレント教育、社会人が大学や大学院で
学べる方法が広がることも。更に地方と都心、外国の大学との特徴を持つ大学間連携を深
めることも。「教えることから学ぶことへ評価の視点を移す」。即ち従来の教える側の管理
で成り立つ出席回数、試験やリポートの単位認定を見直す。学ぶ側が教員と相談しながら
自分の目標と学び方を決め、自ら目標を達成することで単位を認定する方法があっても良
い。定員管理の基準を入学定員から収容定員へ、学部単位から大学全体に変えることで学
生の学ぶ期間を多様化することも考えられる。大学設置基準(校地面積や施設設備、学生
定員など設計条件)の見直しの時期に来ているのではないだろうか。

筆者は65歳から大学院へ社会人学生として入学し、私学の客員教授を経験した経緯から
教員側の勤務風景にも触れておきたい。入学式、卒業式を始め特に1~3月は卒業論文、
修士論文、博士論文提出前の指導。新年度の授業シラバスの執筆と提出。自身の学会誌投
稿の締切り。特に新型コロナウイルス感染下ではオンライン、オンデマンド、ユーチュー
ブ、資料提出、対面授業を組み合わせるハイブリッド型があり、対面でもオンライン同時
中継・ハイフレックスも考えられ教員も初めての試みが想定される。定期試験に入学試験
の試験監督、採点と続き教員も大変なのである。

2021.2.10.
SESCO 副理事長 深尾幸市

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