NGO SESCO 論考 NO.7 私が読んだアフリカ関係書物

今年も早師走、コロナウイルスによる心の痛む疫病災禍、困難な年であった。論考1「ポストコロナの世界」同2「ミクロの視点から見たコロナ後の世界」で触れたので繰り返さないが第3波襲来、油断は禁物だ。ワクチンの見通しが出てきて期待されるが果たしてどうか。


 さて、今回は、最近読んだアフリカ関係の書籍を再読も含めて紹介してみたい。
 チママンダ・ンゴズイ・アディーチエ『半分のぼった黄色い太陽』河出書房新社10年、嵐よういち『アフリカ・ブラックロード』彩図社13年、アイザック・ディネーセン『アフリカの日々』晶文社14年、トム・バージェス『喰い尽くされるアフリカ』集英社16年、小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている』春秋社19年(パイオニアの移民を中心としたチェーンマイグレーションや、中国・香港・東アフリカをまたぐ経済プラットフォームの形成が具体的に記されその分析が面白い。)島田周平『物語ナイジェリアの歴史』中公新書19年、上田文 他『アフリカンプリント』青幻舎19年(京都で生まれた布物語。私事乍ながら1980年代3年間勤務した日本の10大紡績が、ナイジェリアのカドナに設立した合弁工場アレワ・テキスタイルズも登場して親近感が深い。)

 デニ・ムクウェゲ『すべては救済のために―デニ・ムクウェゲ自伝』あすなろ書房19年(性的テロ撲滅のために命をかけた。2018年ノーベル平和賞受賞した医師の告発のノンフィクション。)清水貴夫/ウスビ・サコ『現代アフリカ文化の今』青幻舎20年、 ウスビ・サコ『アフリカ出身 サコ学長、日本を語る』朝日新聞出版20年(サコ教授とは永年交流もあり自己宣伝ながら弊著『私のアフリカ、私の旅』にも載せている。) 白戸圭一『アフリカを見る アフリカから見る』ちくま新書19年(労作『ボコ・ハラム』17年に続いて「アフリカ侮蔑論者」と「アフリカ礼賛論者」間のバランスをとったアフリカ観が秀逸。)田島隆雄『情熱のアフリカ大陸』20年(サラヤ「消毒剤普及プロジェクト、主にウガンダでの活動」の全記録。恩師や大学院時代の仲間も登場し楽しくもある。)

  石塚正英編『アミルカル・カブラル―アフリカ革命のアウラ』柘植書房新社19年、ウルフ・アッシャン『アフリカのブリックス』JICC出版1990年、ワリス・ディリー『砂漠の女ディリー』草思社2000年(ソマリアの砂漠に遊牧民として生まれたが13歳で砂漠を逃げ出し、ロンドンへ渡り、写真家に見出されてモデルになる。やがて国連特別大使としてFGM(女性性器切除)廃絶を訴え世界的に活動する(再読)。エイモス・チュツオーラ『やし酒飲み』岩波文庫12年(再読)。白石顕二『アフリカ直射思考』洋泉社1985年(再読)。

 もう少しありそうだが書斎に積んである中から取り上げた。また学会誌などとして『アフリカ研究』(日本アフリカ学会 年1回) 『アフリカ教育研究』(アフリカ研究フォーラム 年2回) 『AFRICA』(アフリカ協会 年4回) 『アフリカNOW』(アフリカ日本協議会 年2~3回)がある。                  

2020.12.10
SESCO 副理事長 深尾幸市

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